漁港・港湾・海岸点検調査の様子(水中)

漁港の水中目視点検の様子

水中で変状の目視点検中

漁港や港湾の防波堤や護岸などでは、24時間休まず波の力を受けます。
台風による甚大な波力や、毎日の潮の満ち引きから、水中部の弱い箇所に異常が発生したりします。

※異常とは
海底の砂が洗掘されたり、周囲を保護する被覆石が流されたりすることで、防波堤が傾いたり倒壊したりすること。

破損の程度が著しいほど、莫大な復旧費がかかりますので、点検をして費用が安いうちに小刻みに修理する
ことが大事です。

水中は普段見えない箇所であり、足元が悪ければ全てに影響しますので、水中の点検は特に重要です。

 

漁港の水中目視点検の様子(地方のキレイな海)

地方の海で潜水目視

漁港の水中目視点検の様子(地方のキレイな海は遠くまで見える)

遠くまで見える地方の海

水のきれいな地方の海で、潜水目視をしています。
視界は、最大10m。

コンクリートの側面から足元の被覆石まで良く見え、点検がスムーズに進みます。

潜水は、基本的に2人1組。
何かあった際に、お互いに救助できる体制をとります(=バディシステム と呼びます)。

コンクリートのひび割れや欠損、被覆石が正常に入っているか、前面の海底に洗掘はないかなどを
ぐるぐると見て回ります。

 

漁港の水中目視点検の様子(多少濁った都市近郊の海)

都市近郊の海で潜水目視

水が少し汚くなります。
海中に浮遊する懸濁物質(けんだくぶっしつ)が多くなり、カメラのピントが合いにくくなります。

視界は、最大4m。
コンクリートが見えづらくなるので、ある程度近寄らないと点検できません。

1日に点検できる面積も狭くなります。

 

漁港の水中目視点検の様子(懸濁物質の著しい大都市の海)

大都市の海で潜水目視

大都市の海となると、少し離れればコンクリートがもはや見えない状況になります。

視界は、最大2m。
海中に浮遊する懸濁物質(けんだくぶっしつ)だらけとなり、カメラのピントはまともに合いません。

撮影可能な写真は、コンクリート面の接写などになり、変状があった場合は何枚にも分けて記録します。
作業性は著しく低下し、潜水士が行ったり来たりする回数が増えます。

標準的なカメラだと、写真を撮っても懸濁物質しか映らず、写真に残せなくなりますので、必ずプロの機材が
必要になります。

 

漁港点検で使用するプロ用デジタルカメラ

水中撮影用カメラ

これが、プロ機材です。

なぜ魚眼レンズなのかと言うと、普通のカメラよりも被写体に近づくことができ、懸濁物質(水中で浮遊する
ゴミ)を減らした状態で写真を撮影できるからです。

鮮明な水中写真撮影には欠かせません。

このように、水中の目視点検は海域により大きく見え方が違いますので、熟練した潜水士の目が必要になります。
防波堤や護岸の仕組みを理解し、どこが重要なのかを分かった上で潜ります。

点検の精度が大事ですが、漁船や航行船も多いので、作業員の安全を第一にして点検を進めます。