さて、突然ですが、あなたは港の中に船が通る道が存在することをご存知でしょうか。
航行中の船は、一見好きなところを通っているように見えますが、実は海にも道があるのです!?
船が通る海の道のことを航路(こうろ)と呼びます。
また、船が岸壁に着いたり、向きを変えたりする場所を泊地(はくち)と呼びます。
船が停泊する所ですね。
航路・泊地や河川を整備・維持するために必要なのが、浚渫工事(しゅんせつこうじ)です。
浚渫工事とは、安全な海の道をつくるために浚渫船という船を使って、海底や川底の土砂を除去する工事のことです。
グラブ浚渫では、大きな重機の先に爪の尖った装置が付いており、ゲームセンターにあるクレーンゲームのように
海底や川底の土砂をつかみ取ります。その土砂を土運船(どうんせん)に乗せ、基地に運んで行きます。
これらの土砂は産業廃棄物にはならず、埋立に使われたりして有効利用されます。
なぜその工事が必要なのかと言うと、基本的に海底や川底には、土砂が溜まり続ける為に、
水深が浅くなって船が航行できなくなったり、洪水の場合に水かさが増して堤防が壊れたりするなど、
重大な事故につながる可能性があるからです。
しかし、海底や川底を浚渫すると、周囲の水が濁ってしまいます。
このような水の濁りは、海苔や牡蠣養殖などの漁業に悪い影響を与えることもありますし、
場所によっては海底や川底にある土砂(底質と言います)に含まれる有害物質(ダイオキシン類や重金属など)
も周囲に拡散させてしまう恐れもあります。
このような事を防ぐために、浚渫をする周囲にしっかりと海底や川底までフェンスを張り、周辺水域で
水質を測定して濁りが漏れ出していないかどうか、環境監視を行います。
濁りが漏れ出している場合、工事の対策が不十分とのことで、工事が一時中止になることもあります。
当社では水の様々な情報が分かる、多項目水質計を使って濁りの度合いを現地で測定します。
濁りの単位には「SS」や「FTU」など様々なものがありますが、当社の多項目水質計は特殊な検定を
行っており、それぞれの単位に換算し、報告することが可能です。
※大阪の環境監視では、カオリンの単位がよく用いられます。
濁りの度合いの測定と同時に、水流の強さや向きも測定します。
水流の強さや向きがわかれば、測定された濁りが浚渫工事によって発生したものか、別の原因で
発生したものか判断することができます。
濁りの測定、水流の測定と同時に現地で採水も行い、室内で水質分析を行います。
測定項目は、濁度・ダイオキシン類・pH・BOD・DO・SS などがあります。
現地での測定結果と室内での分析結果を比較することで、より精度の高い計測が可能となります。
↓同時に海底や川底の土砂を分析することもあります。
測定項目は、ダイオキシン類・含水率・粒度組成・TOC などがあります。
このように、人間の活動を維持する為に浚渫は随時必要ですが、その周囲の環境を同時に監視することで、
国民の安全が保たれています。工事を進めても環境汚染は気にしなくて良い、という時代は終わっています。
安全・安心な生活を送れるように、ユーエルアクアティクスは調査を続けます。