漁港や港湾には、上部にあるコンクリートや背後の土砂を支える為に、鉄製の矢板や杭が使われることが
あります。これらは錆びたりして、少しずつ薄くなり、放っておくと最後には限界肉厚(鉄が重量を支えられ
なくなること)を迎え、倒壊したりして使用できなくなります。
その為、鋼材の肉厚調査により、鉄が今何ミリあるか、あとどれくらい持ちそうか、と調べ適宜補修して
寿命が延びるように対策します。
ここでは、その肉厚調査の方法をご案内します。
スーパーケレンと言う空圧工具で、鋼管杭などの鋼材表面の付着物(牡蠣、錆 等)を取り除いてきれいにします。
ちなみにケレンとは何かと言うと、英語の「clean」が訛ってできた言葉のようです。
確かにきれいになりますからね。
その業界にいると当たり前に使う言葉ですが、語源というのは面白いですね。
車を誘導する際に言う、オーライも「all right」から来ています。
ケレンして大まかな汚れを取り除いた後に、エアーサンダーにより、鋼材表面を露出させます。
これが、潜水士の技量の分かれ目になります。
削りすぎると鉄の部分が薄くなってしまいますし、足りないとぐらぐらして安定したデータを取得できません。
熟練した技術が必要です。
研磨した後に、超音波厚さ計の探触子(超音波を発する先端のこと)を鋼材に押し当てます。
きっちりと固定しないと、値が上下に大きくぶれますので、注意が必要です。
超音波厚さ計の探触子を、水中で押し当てています。
水の流れがない所では問題ないですが、それが激しい所では、潜水士が右へ左へ流されますので、
うまくいなしながら探触子を固定しなければなりません。
基本的に、水中での作業は陸上の3倍の労力が必要で、かなり疲れます。
ユーエルアクアティクスでは、超音波厚さ計ではUDM-750(帝通電子研究所社 製)を使用しています。
押し当てた探触子から得た鋼材の厚みが、表示部に数字となって現れます。
これを随時メモして、作業を進めていきます。
日本各地の港が古くなっていますので、ユーエルアクアティクスでも各県で、肉厚調査を実施しています。