自然環境が残されている沿岸部では、様々な種類の海草(海藻)が多く繁茂しています。
そこは藻場と呼ばれ、魚介類にとって産卵場所や餌場、外敵から身を隠す絶好のすみかとなります。
特に、稚魚・幼魚の間を藻場で生活する魚が、多く知られています。
※海草と海藻は違います!
海藻・・・藻類の一つ。根・茎・葉などの区別がない。仮根で岩などにしがみつき、栄養の吸収を体全体で行う。
海草・・・陸上の植物と同じで根・茎・葉などの区別があり、水底の砂に根を張り花を咲かせて実をつける。
海草(海藻)は水中にはいますが、陸上の植物と同様な仕組みなので、二酸化炭素を吸収して酸素を供給したり、
赤潮の原因になる栄養塩(リン、チッソなど)を吸収するので、水質浄化の効果もあります。
一般的には、藻場の繁茂状態を把握するために、潜水士(生物ダイバー)が潜って直接目で見て観察し、
どのような種類が、どのくらい繁茂しているのか、調査して記録します。
他には、船上調査員が船の上から箱メガネで水中を覗き込んで、水中の様子を調査していく方法や、
飛行機で撮影した航空写真から海色の濃淡を判別し、藻場の分布を読み取っていく方法など、
様々な手法があります。
生物ダイバーが水中で見て確認する潜水目視の場合、藻場の分布状況の他に、そこに住む魚や
貝などの生物が生活する様子、海底地形なども同時に調査できるのが、最大のメリットです。
アマモ場とよばれるタイプの藻場は、水深の浅い砂地や、干潟の沖合いで見かけることができます。
アマモは海草で、被子植物門というグループに属し、陸上の植物と同じように花を咲かせて、種子で増えます。
すごいですよね、水中なのに花が咲くんです。
ここでは、イシダイの幼魚が楽しそうに泳いでいました。
ガラモ場とよばれるタイプの藻場は、沿岸部の岩場や大きな石が転がっている場所で見かけることができます。
ガラモ場は、ホンダワラ属というグループの海藻が茂っている藻場です。
ホンダワラ属は、気泡と呼ばれる浮き袋のようなものを葉の先に持っており、その浮力で水中で立ち上がって
います。大きいものでは長さが数メートルに達するものもあります。
地域によっては細かく刻んで食用にする所もあります。
独特の粘りと風味があって美味しいです。ちなみにヒジキもこの仲間です。
カジメ場とよばれるタイプの藻場は、沿岸部の岩場で見かけることができます。
カジメはコンブの仲間で、アワビやサザエ、ウニの良い餌となります。
潜水調査を行うときは、アワビやサザエ、ウニなど水産上重要な生物についても観察・記録を行います。
(地元の漁師さんが一番興味をもっている事でもあります。)
藻場の保全や増殖を行う場合、藻場の種類によって対策方法が異なるため、このように実際に潜水してダイバーが
詳細を記録し、報告することが非常に重要となります。