流況を調査する機器ADCP(超音波ドップラー多層流向流速計)を、潜水士(環境ダイバー)が海底に
取り付けています。
流況調査では、水の流れを調べます。
※流況・・・水の流れる状況のこと。どの方向に、どんな速度で水が流れているかを示す。
(調査例)
・港内で牡蠣の養殖を始めるのに、海水がうまく循環する適地なのか調べる。
・河川でどこに橋を作るのが適地なのか、流水の強弱を調べる。
・海洋で防波堤を作るのに、波が行き来する方向や強弱を調べて、防波堤の大きさや場所を決める材料にする。
この場合、潜水士は一度にたくさんの作業をするために、水中ボンベを2つ背負うことがあります。
ADCPの設置式では、海底にADCPを据え付け、海上で夜に光る目印ブイなどを浮かべて、15~30日間
ずっと固定した後に回収します。
潜水士は周囲の地形を確認しながら、ADCPの架台(取り付け台座)に土嚢袋などを置いて、
激しい海流によりADCPが動くことのないよう、頑丈に固定します。
しかし、どんなに頑丈にADCPを固定しても、他の航行船に目印ブイのロープなどを引っ掛けられ、
最悪の場合、ADCPが流されてなくなってしまうことがあります。
ADCPがなくなると、機械そのものの損失だけでなく、海中に沈めていた期間のデータも失いますので、
業務に大きな支障を来たしてしまいます。
これは、実際に現場で起こっている、残念で悲しい事故です。
目印ブイのアンカーから離してADCPを設置したり、目印ブイに反射板や、強力なライトを取り付けるなどして、
事故の予防に努める他ありません。
土嚢袋ではなく、海底にペグを打ち込んで固定するタイプのADCPです。
こちらも潜水士が丹念に取り付けます。
こうして海底に設置されたADCPは、15~30日間データを取り続け、最後に潜水士が回収し、パソコンに
つなげてデータを抜き取ります。
我々は何気なく、橋の上を車で走ったりしますが、このような流況調査が陰で実施されたりしています。
社会に貢献できる仕事は、色々な形でありますね。