川や水路等の水質の状態を知るために、水を専用の容器に汲んで、水質調査をします。
河原に下りて川から直接採水したり、橋の上からバケツを降ろして採水したりと、その地点の状況に応じて
汚れが混ざらないように適切に採取します。
川の水は、近隣住民の飲料水になることがあり、人々の健康に深く影響します。
また、水中の汚れを分解するために酸素がなくなったりすると、魚などが死んでしまう原因となります。
ですので、毎月同じ箇所で調査して、水質の変動を監視することも多くあります。
これは定点観測と呼ばれます。
採水後は、サンプルを水質分析施設に運び込み、専用の機械で汚染度を測定します。
鉛などの重金属や、人体に影響のあるトルエンなどの化学物質、過剰なプランクトンが見つかると、
すぐに飲料水としての取水を停止して、人々の健康を守らなければなりません。
川がどのように濁っていき、キレイになるか、調査することもあります。
具体的には、雨が降りそうな頃を見計らって、降雨前~降雨中~降雨後の濁りの様子をモニタリングします。
30分や1時間間隔で採水し、現場に持参した濁度計で濁度を分析します。
大変なのは、雨はいつ降るか分からないので、いつでも行けるように出動体制を整える必要があることと、
日夜関係なく、雨が収まるまで調査しなければならないことです。
現地調査で取ったデータを見ると、「降雨量いくらの時に、降雨後何時間で濁りの値がいくらになる」などが
分かり、下流に影響を与えにくい護岸の形状や、飲料水としての取水の際に、影響の少ない水のルートを
造成するなどの、検討資料として使われます。
現地での調査は地味ですが、人々の暮らしを守る大事な仕事です。
現地調査で採取した水質サンプルは、専用のビンに入れられて分析室に運びこまれます。
瓶が日光や外気で暖まり、内部の水質が変化することのないように、クーラーボックスに入れて保冷します。
水質サンプルの中には、空気が混ざらないように、気泡の一つも入ることが許されないような、シビアなものもあります。
気泡が入ると、正しい分析の結果が出ないからです。
このように、採水という単純そうな水質調査の現地作業であっても、色々なテクニックがあります。
汚れを専用瓶に入れないように、水の下流側に立って瓶を離して上流側の水を採水するというのも、
重要な作業方法になります。
他には、現地調査では水温や水色・匂いや水の透明度を計測します。
分析機関では、COD(有機汚濁の指標となる値)、pH(酸性・アルカリ性の度合)やDO(水に溶け込んでいる酸素の量)、
有機化学物質(合成洗剤に含まれるベンゼンなど)などを分析します。
水質調査と同時に、川の流速(水の流れている速さ)を電磁流速計で、測定します。
メジャーで川幅を測り、特定の間隔で水深・流速を測定することで、川の水の流量を算定できます。
流量を知ることで、普段と比べ、水が多い日だったのか、少ない日だったのかが分かり、
水質の分析結果の考察に役立てます。
電磁流速計のセンサー部を上流側に向けると、その瞬間の水の流速がモニター部に表示されます。
モニター部は防水機能がないので、測定時に転ばないように注意しないといけません。
胴長を着て深い所に行く場合も、モニター部が浸水しないように確認する必要があります。
人々の暮らしを守る水質調査では、大半がこのように人力で実施されます。
家庭排水が流れている所も見かけますので、川を大事にして環境を守っていきたいですね。
結局は、我々の安全な暮らしに結び付きます。