河川で見る変状と補修 ~欠損~

※川沿いを歩いて撮った、一般に見える箇所にある写真を載せています。

 

護岸ブロックの欠損箇所(遠景)

護岸ブロックの欠損箇所(近景)

護岸中央のブロックが、1個分欠損しています。

欠損の理由は、
・設置時のコンクリートによる接着が甘かった
・背後から圧力がかかって押し出された
・川の流れにより剥がれた
などが考えられますが、明確な理由は分かりません。

ここで分かるのは、水流に接して護岸表面を守るブロックがなくなっていることから、
・背後にある裏込石(護岸裏側に詰められた5~20cm程度の石)や土砂が、その隙間から漏れやすくなっていること
・川の水位が上昇する洪水の時期になると、欠損箇所まで水が達し、水とともに背後の石などが流出する恐れがあること
・雨水が護岸内部に浸透して沈下する恐れがあること
になります。

このままで1年持つか、10年持つかは誰にも分かりませんので、この変状が発生している周囲の重要度
(たくさんの人が住んでいる、増水時に川の水が来る高さかどうか 等)を勘案し、優先順位を付けて順次補修に入ります。

 

護岸ブロックの欠損補修箇所

護岸ブロックの欠損箇所は、無収縮モルタルにより埋め戻すことで補修します。

護岸が川側にはらみ出していたり、天端(護岸上の人が歩く所)が沈下していたりすると、護岸背後に
変状が発生している可能性があるため、内部をファイバースコープで見て安全かどうか先に確認することもあります。

特に護岸の低い箇所にある欠損は、川の水が容易に当る所ですので、すぐに補修をする必要があるのか検討が必要です。
河川点検をしていると、このようなブロック1個分が欠損した箇所をたまに見かけます。

モグラが作った小さなトンネルに川の水が入って、護岸が決壊することもありますので、適切に川を維持管理して、安全に暮らしたいですね。
甚大な水害が近年多いので、その重要性がさらに高まっています。