自然環境調査の内、底質(海底や川底にある砂や泥など)の中に、有害な物質が含まれていないかを調べる、
底質調査というものがあります。
有害な物質とは、生き物が腐ったときに発生する硫黄や、鉛などの重金属、ヒトや生き物の健康に害を与える
ダイオキシンなどになります。
分析の結果、これらが法令で定められた基準値を超えた場合は、その底質を浚渫(重機でさらうこと)により
除去したり、表面に清浄な砂などを大量に撒くなどして、周辺に拡散しないようにする対策が必要になります。
柱状採泥では、底質表面だけの調査と違い、採ったサンプルを撹乱することなく、深度方向にスライス
できますので、底質の分析を深度毎に実施出来るメリットがあります。
底質は洪水などにより、堆積・洗掘などの移動を繰り返しますので、深度方向の組成を知るのは重要です。
例えば、底質表面はきれいでも1m下の底質は工場排水で汚染されていた、というようなことが
調査で判明することがあります。
水中でも、潜水士(環境ダイバー)がポリカーボネートパイプを使って、柱状採泥をします。
ハンマーや特殊な器具で叩いて押し込み、ゴム栓で封をして、パイプを引き抜いて採取します。
水中では、陸上の約3倍の労力がかかりますので、非常に大変な作業になります。
底質が粘土質の場合、打ち込んだパイプが人力で抜けず、ウィンチなどを用いることもあります。
取れたての柱状サンプルです。
ポリカーボネートパイプの上下に、ゴム栓をしっかりとした後、ビニールテープで巻いて取れないようにします。
底質の状況が深度毎によく分かり、見ていると面白いです。
たまに貝などが入る場合もあります。
次に底質の分析をするため、サンプルを撹乱せず、安定した状態で立てたまま運搬しなければいけません。
そこで、酒屋さんが使う瓶ケースが登場!
サンプルがしっくりと、安全に収まるのです。
色々試した結果、これが最良ですね。
調査時には、このように調査の手法だけではなく、分析を円滑にするための工夫が必要です。
現地にて試料を採取する際は、柱状の底質サンプルをポリカーボネートパイプから抜き、雨どいに置いて
層毎の性状を確認します。粘性の高い(粘土を多く含むもの)底質ほど、きれいな柱のまま抜き取れます。
この底質サンプルを層毎に採取して、成分を分析します。
柱状で採った底質を混ぜると、このようになります。
ここでは砂の成分が少なくてヘドロが多く、かなり臭かったです。
硫化水素臭がしており、とても貝などが住めるものではありません。
底質分析で実態を調査し、底質改善を進めて、生き物が住める川や海を取り戻したいですね。